知っておきたいデータ解析手法8選 | 初心者にもわかりやすく解説

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こんにちは。「AIアナリスト」ライターチームです。

最近では、ビッグデータを用いてマーケティングに取り組む企業が増加しています。しかし、どのようにデータ解析を行えばいいのかが、明確にわからないという担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、基本的なデータ解析手法を、初心者にもわかりやすく解説します。データ解析に取り組むために、基礎知識を身につけたい方はぜひ参考にしてください。

目次

マーケティングにデータ解析が重要な理由

人のあらゆる行為がデータ化されつつある現在、マーケティングにおいてビッグデータの活用は不可欠です。ビッグデータとは社内外に蓄積されている大量かつ多様なデータですが、データを保有しているだけでは活用にはつながらず、意味がありません。

自社のマーケティング・ビジネスを発展させるためには、ビッグデータを正確に解析し、新たなアプローチや課題改善につなげることが大切です。データ解析には様々な手法があるため、用途や特徴を理解し、目的に応じて選びましょう。

知っておきたいデータ解析手法8選

実際に、データ解析にはどのような手法があるのでしょうか。マーケターがおさえておくべきデータ解析の手法8つを、手順や具体例も含めて解説します。

1.クロス集計

クロス集計とは、2つ以上の項目の相関性を分析する方法です。データ解析手法の中で、最も手軽に行うことができるといわれています。

クロス集計の手順

クロス集計の大まかな手順は以下のとおりです。Excelなど、クロス集計機能があらかじめ実装されている表計算ツールなら、調べたい項目の値を入力するだけで簡単に集計を行えます。クロス集計の手順は以下のとおりです。

  1. 項目ごとに単純集計を行い、全体の傾向を把握する
  2. 全体の傾向に対してクロス集計を行うことで、どのような違いを見たいのかを決める
  3. 相関性を調べたい項目がピックアップできたら、掛け合わせて集計する

クロス集計の使い方

クロス集計は、アンケート回答の集計・分析に用いられます。たとえば、「1日にどのくらいスマートフォンを使うか」というアンケートを取得したとします。回答結果を年齢や性別、職業などの属性と掛け合わせることで、セグメント別の傾向を把握できます。

2.クラスター分析

クラスター分析とは、全体のデータの中から、類似度の高いデータをグルーピングして、各グループ(クラスター)の特徴や傾向を把握する解析手法です。階層クラスター分析と非階層クラスター分析の2つに大別されますが、本記事ではビッグデータの解析に適した、非階層クラスター分析(k-means法)を取り上げます。

クラスター分析の手順

クラスター分析の手順は以下のとおりです。

  1. 対象をどのように分類するか、いくつに分類するかを決める
  2. 各クラスターの核となるサンプルを選ぶ
  3. 核となるサンプルとの距離に応じて、各サンプルをグルーピングする

クラスター分析の使い方

クラスター分析は、マーケティングにおいて、ユーザー分類や製品分類などに活用されます。たとえば、会員情報(性別や年齢、購買履歴など)をもとに、いくつかのセグメントに分類し、各セグメントの嗜好性にあわせたメールマガジンを配信するといった活用方法が考えられます。

3.因子分析

因子分析とは、大量のデータから複数の変数に影響を与える要素、つまり特定の結果を引き起こす要因(共通因子)を突きとめるための解析手法です。因子分析を用いることで、直接測ることが難しい潜在的な要因を特定できます。難易度は高めですが、効果的なマーケティングに役立つ手法です。

因子分析の手順

因子分析は計算方法が複雑なため、因子分析の機能が備わっている統計ソフトの活用をおすすめします。因子分析の手順は以下のとおりです。

  1. 共通因子数を決める
  2. 共通因子の影響の強さ(因子負荷量)を計算する
  3. 各因子を解釈し、共通因子名を決める

因子分析の使い方

因子分析は、アンケート結果の分析に適しています。たとえば自社製品についてのユーザーアンケート結果をもとに、購買意欲につながる要素や、競合と比較したときの自社製品の強みや弱みを特定するなどの活用が考えられます。

4.主成分分析

主成分分析とは、たくさんの指標(変数)がある場合に、似ている指標(変数)を少ない指標(主成分)に要約することで、データ全体の解釈をしやすくする分析方法です。たとえば8教科のテストの得点を「総合評価」「文系科目・理系科目」という2つの主成分に要約し、生徒の能力を把握しやすくするイメージです。

主成分分析の手順

主な統計ソフトには主成分分析の機能が備わっているため、ぜひ活用しましょう。主成分分析の手順は以下のとおりです。

  1. 全データの平均値(重心)を計算する
  2. 平均値もとに、データの分散が最大になる方向(第1主成分)を算出する
  3. 2番目に分散が大きくなる方向(第2主成分)を算出する。このとき、第2主成分の軸は第1主成分の軸と直角に交わるようにする
  4. 3をデータの次元の数だけ繰り返す

主成分分析の使い方

主成分分析は因子分析と同様、アンケート結果を分析することで、製品やブランドに対するユーザーのイメージを把握するのに適しています。

5.ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析とは、特定の事象に対し「YES」「NO」の2種類のデータ(目的変数)を集計することで、その事象の発生確率を予測するための分析方法です。

ロジスティック回帰分析の手順

ロジスティック回帰分析は、計算式が非常に複雑であるため、RやSPSS、SASなどの統計ソフトを活用しましょう。また、Excelでもやや手間はかかりますが簡単なロジスティック回帰分析が可能です。ロジスティック回帰分析の手順は以下のとおりです。

  1. 2種類のデータ(目的変数)を、説明変数(事象の原因となる変数)と線形な関係になるように変換する
  2. 1で変換した値を、発生確率に変換する

ロジスティック回帰分析の使い方

ロジスティック回帰分析は、たとえばユーザーの製品購買率やキャンペーンへの反応率などを予測するのに使われます。また、より発生確率を高める/下げる要素を特定することで、改善に取り組めるという利点があります。

6.決定木分析

決定木分析とは、1つの事象について「もしも~だったらどうなるか」という仮説を繰り返しながらデータを分割し、ツリー状のモデル図を作成する分析方法です。結果の予測を立てるのに有効です。

たとえば、「スポーツドリンクを買う/買わない」という回答結果から、「気温が○度以上/以下だったら」「天気が晴れ/雨」だったら…とデータを分割して、最終的な購入割合を導き出します。クロス集計よりも、その事象をもたらす様々な原因を整理・把握しやすいという特徴があります。

決定木分析の手順

決定木分析は、データ分割の構造が深くなりすぎると、解釈が難しくなったり、汎用性が低下したりするので注意しましょう。決定木はExcelやedrawなどで作成できます。分析の手順は以下のとおりです。

  1. データ分割の基準を決める
  2. データを分割する(※用いるアルゴリズムによって、分割できる数が異なります)
  3. 1・2を繰り返す

決定木分析の使い方

決定木分析は自社製品・サービスの購入見込みや満足度が高い人の属性を把握したり、来店者の予測を立てたりする際に活用できます。また、リスクマネジメントへ用いられることも多い手法です。

7.ABC分析

ABC分析とは、売上やコスト、在庫といった指標を重要度が高い順に分類、管理するための分析方法で、別名「重点分析」ともいいます。「売上の80%は全体の20%の商品により生み出される」というパレートの法則にもとづいたフレームワークです。

ABC分析の手順

ABC分析は、Excelを用いて手軽に実践できます。分析の手順(製品ごとの売上管理の場合)は以下のとおりです。

  1. 各製品の売上を算出する
  2. 売上が多い順に並べる
  3. 全体の売上に対する各製品の売上割合を算出する
  4. 上位のものから累積額を算出する
  5. 累積構成比を算出し、高い順にランク付けする

ABC分析の使い方

ABC分析の多くは、売れ筋商品を特定し、在庫管理や販促を効率的に行うために用いられます。また、現状把握のために、定点観測的にABC分析を実施するのも効果的です。

8.アソシエーション分析

アソシエーション(相関)分析とは、複数の事象が同時に発生しているときに、隠れた関連性を突きとめるために使われる分析手法です。たとえば、「商品Aを購入しているユーザーは商品Bも購入する」という傾向を検証・把握することができます。

アソシエーション分析の手順

アソシエーション分析の手順は以下のとおりです。商品A・B購入の関連性を確認したいケースを想定しています。

  1. AとBの併売数を算出する
  2. A・Bそれぞれの売上点数を算出する
  3. 全体のレシートの数を算出する
  4. 1~3のデータを使い、以下の指標の数値を算出する
    • 支持度 (A→B)=(A・B両方を含むデータ数)÷全データ数
    • 信頼度(A→B)=(A・B両方を含むデータ数) ÷ Aを含むデータ数
    • リフト値=信頼度(A→B)÷Bを含むデータ数
  5. 各指標の数値に基づいて関連性を評価する

アソシエーション分析の使い方

アソシエーション分析の結果は、商品が売れるか売れないかの見極めや、アップセル・クロスセルといった売上増加の施策検討に活用できます。

データ解析を行う際のポイント

データ分析はビジネスの成長に不可欠ですが、最大限に活用していないケースもあります。データ解析に取り組む上で、注意すべきポイントを2つ、解説します。

明確な目的をもつ

データ分析を行う上で最も大切なのが、「何のための分析か」を意識して取り組むことです。データ分析は現状に対する課題認識や改善のための手段であって、データ分析自体が目的ではありません。分析結果から、改善に役立つ情報を引き出すためにも、ビジネスの目的や課題を見据えて、「なぜデータ分析を行うのか(どのような仮説を検証するための分析なのか)」という目的意識をもって取り組みましょう。

今後の戦略につなげる

マーケティングに不可欠といわれるデータ分析ですが、分析をするだけで売り上げ向上や事業の発展につながるわけではありません。分析結果をふまえて効果的な対策を考えて実行したり、データを共通言語として社内の連携を深め、施策の実行スピードを上げていったりといった取り組みが重要です。データ分析は、あくまでも意思決定の確度やスピードを高めるための補助的な役割であり、具体的な戦略や施策は、自分自身で作り上げて行動すべきであることを忘れないでください。

まとめ

今後のマーケティングにおいて、ビッグデータの解析はますます重要になっていきます。データ解析には、さまざまな手法があるため、各手法の特徴を理解した上で、目的に応じて選ぶことが大切です。複雑な計算を伴う手法もありますが、統計ソフトなどを効果的に活用することで、手軽に実践できるでしょう。ぜひ本記事で紹介した内容を参考にしてください。

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この記事の執筆者

株式会社WACUL

株式会社WACUL

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