ECサイトリニューアルを検討するタイミングや手順、成功する方法を解説

サイト改善 |

こんにちは。「AIアナリスト」ライターチームです。

ECサイトのリニューアルにより、ユーザーの満足度や売り上げが向上する効果が期待できます。

この記事では、ECサイトのリニューアルを検討するタイミングやリニューアルの手順、成功するためのポイントについて解説します。併せて、利用できる補助金やECサイトのリニューアルに成功した事例も紹介します。ECサイトのリニューアルを考える人は、参考にしてください。

目次

ECサイトリニューアルを検討するタイミング

ECサイトリニューアルを考えるべきタイミングは、主に7つです。それぞれのタイミングを解説します。

売り上げが落ちてきた、もしくは伸びない

ECサイトの売り上げが伸び悩んでいたり、CVが減っていたりするときは、ECサイトをリニューアルするタイミングです。売り上げが上がらない原因や問題点を洗い出し、改修できないと判断した場合は、ECサイトのリニューアルを検討しましょう。

原因や問題点に挙げられるものには、UI・UXが悪く離脱につながっている、決済方法が少なく購入に至らないなどが、考えられます。

ベンダー(サービス提供元)に不満がある

ECサイトの操作性が良くない、連携できるサービスが少ないなど、サービス提供元であるベンダーに不満がある場合も、ECサイトのリニューアルを考えるタイミングです。満足していないと、全体的な効率低下につながります。必要な機能が備わっているにも関わらず、使い方がわかりにくい、場所がわかりにくいなどの理由で、十分に活用できていないことも考えられます。

デザインを変更したい

デザインも、ファッションやカラーと同じく流行があります。トレンドが入れ替わるタイミングは、BtoCのECサイトは2〜3年、BtoBは6年といわれています。古いデザインのままのECサイトは、消費者の滞在時間や再訪問率が低下し、売り上げに影響を及ぼしかねません。サイトのデザインは目に見えるため、ブランドイメージに直結します。古いデザインのままでは、印象が悪くなるでしょう。

事業拡大

事業拡大により、必要な機能やシステムを追加したいときも、ECサイトをリニューアルするタイミングです。顧客管理をスムーズにしたい、外部サービスとの連携を考えている、定期購入サービスを展開したいなど、事業拡大に伴い、新しく機能が必要になることもあるでしょう。必要な機能と現状のシステムに乖離を感じたら、リニューアルを考えましょう。

システムが老朽化しているため

ECサイトのカートシステムにも、バージョンが存在します。老朽化したシステムをそのまま使っていると、サイト更新やセキュリティに影響を及ぼします。一般的な耐用年数である5年を目安に、ECサイトのリニューアルを検討しましょう。なお、オープンソース型やフルスクラッチ型のシステムは、老朽化が早い傾向にあります。

利用しているサービスの終了

ECサイトで利用しているシステムのサービス終了に伴い、ECサイトのリニューアルが必要になるケースも考えられます。サービス終了が予告された段階で、速やかにリニューアルを検討しましょう。

時代のニーズに合った対応ができていない

自社のECサイトがスマートフォンやタブレットなどに対応していないと、売り上げ低下につながります。スマートフォンやタブレットなど、パソコン以外のデバイスで購入するユーザーも多いためです。

ECサイトと店舗を連携させるオムニチャネルの実施は、時代にマッチするために必要です。オムニチャネルには、ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取るサービスや、ECサイト上で店舗の在庫を確認できる在庫連携システムなどがあります。

ECサイトリニューアルの費用

ECサイトをリニューアルする方法には、ASP ・オープンソース ・パッケージ・フルスクラッチがあり、それぞれ構築方法や費用が異なります。オープンソースでは、さまざまな機能の追加やデザインの再構築となると、数十万~数百万円の費用がかかることもあります。フルスクラッチでは、数千万規模になる可能性もあるでしょう。

顧客情報をはじめ、既存のECサイトで保持しているデータを移行する費用も必要です。リニューアルは慎重に検討しましょう。

ASP オープンソース パッケージ フルスクラッチ
構築方法 構築に必要なシステムをレンタル 無償ソースコードをカスタマイズ パッケージをもとに独自開発 ゼロから独自に自社開発
初期費用 低い 低い 高い
月額費用 低い〜中 低い 高い
構築にかかる時間 早い 早い 普通 ゆっくり
カスタマイズ性 低い 普通 高い 高い

ECサイトリニューアルに使える補助金

ECサイトのリニューアルに使える補助金や助成金が、国や自治体から発表されています。ここでは、2つの制度について解説します。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、商工会議所が運営している補助金制度です。小規模事業者の販路開拓や生産性向上に対する取り組みを支援しています。ECサイトのリニューアルをする場合、ECサイトの開発、構築、更新、改修、運用経費を「Webサイト関連費」として申請可能です。通常枠の補助金は最大50万円、補助率は2/3です。

ゼロエミッション販路拡大助成金

ゼロエミッション販路拡大助成金は、東京都が実施している補助金制度です。対象は、東京都内の本店または、支店で実質的な事業活動を引き続き1年以上している中小企業者で、限度額は、150万円です。助成金は、自社ECサイト制作・改修費に利用可能ですが、省エネルギーをはじめとするコスト削減や、環境に配慮した製品・技術・サービスなど、助成には条件があります。

ECサイトリニューアルの手順

ECサイトのリニューアルは、手当たり次第に進めても期待する効果は得られません。以下の手順に沿い、リニューアルを進めましょう。

1.プロジェクトチームを作る

リニューアルにあたり、プロジェクトチームを作ります。プロジェクトに必要なメンバーは、決裁権限のある人、プロジェクトリーダー、現場で働く従業員です。開発会社の選定や予算の決定などで最終的な判断を下す必要があるため、決定権限者には、担当役員や責任者を選定しましょう。

プロジェクトリーダーの役割は、リニューアルに関する対応を取りまとめ、スケジュールに則って業務を進行することです。他部署との調整も必要であるため、管理職が適しています。

2.コンセプト定義を決める

現状のECサイトが抱える課題を洗い出し、リニューアルする目的や方向性を決定しましょう。「売り上げを上げたい」「EC事業を拡大したい」など曖昧な目的やゴールでは、ECサイトのリニューアルを進めるうちにゴールがずれたり、方針が逸れたりしかねません。

  • 実店舗とEC店舗の顧客情報を一元化し、購入に至らなかったユーザーの行動を把握したい
  • 顧客の好みや購入傾向などを分析して、ユーザー1人ひとりに合わせたアプローチをしたい
  • CVを今の3倍にあげたい
  • 検索エンジンからの流入を今の2倍に増やしたい

上記のように具体的に内容を掘り下げたり、数値で示したりするなど、明確にしたうえでRFP(提案依頼書)に書き起こしましょう。

3.現状の課題を洗い出す

売り上げが向上しない原因や、向上のさまたげになっている要因を洗い出し、現状の課題を把握しましょう。要因として考えられるものや課題は漏れなく、すべてリストアップします。ECサイトの売り上げは、集客×客単価×CVRで算出できます。

つまり、それぞれの数値を分類して把握することで、要因が分析可能です。同時に、管理画面が使いづらくミスが発生するといった、業務上の課題もリストアップしましょう。

4.費用とスケジュールを決める

課題を洗い出したら、実現できる費用とスケジュールを明確にします。ECサイトのリニューアルにかかる費用は、初期費用と月額費用だけではありません。見積もりを取る際に、移行費用や機能を追加する場合の追加費用などが必要かを確認しましょう。短期間でのリニューアルを目指すのではなく、余裕を持ったスケジュールにすることが重要です。

5.ベンダーを決める

複数のベンダーを比較検討し、目的やゴール、費用、スケジュールなどの要望が叶うベンダーを決定します。実績や強み、特長も比較対象に入れるとよいでしょう。さらに、リニューアルの目的を伝えて、コンペの参加を依頼します。その際、比較検討のためにも、各社には同じ内容の依頼をしましょう。

併せて、ASP型、オープンソース型、パッケージ型、フルスクラッチ型のなかから、どのカートシステムを選ぶかも決めます。それぞれ、費用や構築方法が異なります。かけられる予算や必要な機能などを加味して、選びましょう。

6.要件定義をする

要件定義とは、「ECサイトをリニューアルしたい事業者」「ECサイトを構築するベンダー」との間にある認識のずれを埋めることを指します。要件定義では、リニューアル後のサイトに求める機能やセキュリティ案件など、必要要件を洗い出しましょう。要件をまとめたものをベンダー側に提示して、スケジュールを立てます。その際、優先順位を示すことをおすすめします。

7.サイトデザインを決める

カートシステムの開発やサイトデザインを決定します。商品詳細ページ、カテゴリ一覧、問い合わせページ、ショッピングカートのイメージを固めておきましょう。サイトデザインは、パソコンだけでなくスマートフォンからの見え方にも気を配ることが大切です。

リニューアルがどれくらい進んでいるか、要件定義で決めた使用に沿っているかなど、ベンダーに適宜確認し、状況を把握しておきましょう。

8.ECサイトリニューアルオープン前の準備をする

ECサイトのリニューアルオープンの前に、データ移行やテスト運用、オープン前チェック作業などを行います。各システムに問題や要件定義と異なる部分がないか、注文までの導線がスムーズかを確認します。問題が見つかったら、ベンダーに対応を依頼しましょう。

リニューアル前の確認を済ませた後に、問題が起きたり不明点が出たりすることも十分に考えられます。サイトオープン後の対応について、ベンダーと連携が取れるように事前に取り決めておきましょう。オープン前に行う準備は以下のとおりです。

運用ルール 管理画面の変更に伴い、業務フローが変更する可能性があります。マニュアル化しておきましょう。
サイトの利用規約 利用規約を作成します。その際、契約成立のタイミング、ID・パスワードの管理責任の所在、返品に関する説明を明記します。
メールフォーマット ユーザーに送付するメールは、注文確認や発送完了、配達業者の番号、商品欠品のお詫びなど、さまざまです。複数のパターンに対応できるよう、フォーマットを用意しましょう。
データ移行 既存のシステムから商品や顧客のデータを抽出し、新システムに取り込みます。システムが変わると、そのままデータ移行をすることが難しいケースもあります。移行方法は、事前に確認しましょう。

9.ECサイトをリニューアルオープンする

ECサイトをリニューアルオープンします。サイトの構成が変わり、ユーザーが迷ったり離脱したりしないよう、リニューアルは事前に告知しましょう。ユーザーに認知させることが、売り上げや顧客獲得につながります。

ECサイトリニューアルで成功するポイント

ECサイトのリニューアルで期待すべきゴールにたどり着くために、意識すべき項目を解説します。

リニューアルの目的や課題を定める

ECサイトをリニューアルする目的や現状のECサイトの課題が明らかでないと、その後の方針や判断に迷うことになります。すると、期待したようなリニューアルの成果が出ない、ゴールにたどり着けない結果になりかねません。リニューアルの目的とするべきKPIを立て、具体的な目的や客観的な評価などをイメージすることが重要です。

社内で共有し、現場の意見を取り入れる

リニューアルで使い勝手が悪くなると、従業員の作業効率が下がり、ミスやトラブルが生じることがあります。すると、ユーザーからの信頼を失い、売り上げ低下につながるとも考えられます。

リニューアルの予定が決定したら、社内に通知しましょう。認識のずれや要件の追加などが起きると、スケジュールが大幅に変更しかねません。ECサイトのリニューアルが決定したら、現場の従業員からも、機能面や操作性などついての意見を聞きましょう。

UI・UXを重視する

UIはUser Interfaceの頭文字をとった言葉で、サイトの操作性や表示などのユーザー体験を指します。UXはUser Experienceの頭文字をとった言葉で、ユーザーがサービスで得られる経験を指す言葉です。デザインばかりを意識すると、ユーザーにとって使い勝手の悪いサイトになりかねません。UI・UXを重視することで、売り上げ向上が期待できます。

コンテンツマーケティングを取り入れる

多くのユーザーにECサイトを訪れてもらうためには、コンテンツマーケティングの導入も効果的です。ユーザーにとって役立つ情報を提供することでSEOの評価が上がります。SEOの評価が上がることで、CVRやリピート率につながると期待できるでしょう。

コンテンツマーケティングの進め方は、こちらの記事で詳しく解説します。
コンテンツマーケティングを成功に導く進め方とは?手順やよくある課題を紹介

将来的な事業規模を見据える

目先の数字ばかりに気を取られていては、ECサイトをリニューアルしても、期待するような効果が得られません。事業の拡大スピードが速かった場合、一度リニューアルをしたにも関わらず、また次の課題が出てきてしまうと考えられます。将来の事業規模を見据えてリニューアルを進めましょう。

先を見越したECサイト設計は、リニューアルの回数を減らせるため、リニューアルにかかる費用や時間の削減になります。

内製化を検討する

ECサイト業務は、事業規模が大きければ大きいほど、自社で内製化する方がよいと考えられています。目標とする売り上げは、事業規模に比例して大きくなります。テンポよくPDCAを回し、目標をスムーズに達成するためにも、事業が大きくなることを想定して内製化の検討、人材確保をしておきましょう。

ECサイトリニューアルの注意点

ECサイトをリニューアルする際には、事前に確認すべき注意点や公開後に意識すべき注意点があります。5つの注意点を解説します。

予算オーバーに気を付ける

ECサイトに追加したい機能や、目的のためにやりたいことなどを増やせば増やすほど、必然的に予算も増えます。経費と利益のバランスが崩れて予算を圧迫すると、リニューアルで利益が下がる結果になりかねません。目的が方針から逸れないように、あらかじめ目標を固めたうえで、段階的にリニューアルを進めることが重要です。

リニューアルだけで成果は出ない

ECサイトは、リニューアルオープンして終わりではありません。リニューアル後に、新たな課題が発生することは十分に考えられます。改善策を検討し、その都度アップデートしていきましょう。流入数のみに意識を向けるのではなく、コンテンツを継続して更新・追加していくことも重要です。

既存システムとの連携・データ移行を確認する

データを移行できないと、ユーザーが不便に感じ離脱率が高まる可能性があります。ECサイトをリニューアルする際は、既存サイトで取り入れているシステムと連携できるかを確認しましょう。会員データの文字数上限、機種依存文字、半角/全角などのテキストの表記ルールも確認します。

移行できないデータは、システムベンダーへの依頼が必要です。費用やスケジュールが追加になることも考えられます。

リダイレクト設定をする

ユーザーが旧サイトを訪れたときに、リニューアル後の新しいサイトにアクセスできるように、リダイレクト設定をしましょう。リニューアル後にユーザーがショップ名を検索すると、旧サイトのURLが検索でヒットするかもしれません。

検索結果に表示された旧サイトからもリダイレクトできるようにすることで、ユーザーが迷子になったり、離脱したりする不安が解消できます。

リダイレクトについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
リダイレクトとSEO評価の関係とは? 種類や設定方法まで解説!

ECサイトリニューアル後もPDCAを運用する

ECサイトをリニューアルした後は、PDCAサイクルを定期的に回しましょう。かご落ちを防ぎ、購入率を高めるためには、商品説明や注目の商品などのコンテンツを継続して更新、追加していくことが重要です。ユーザーをECサイトに誘導できているか、商品の魅力を伝えるアピールは十分か、商品の導線に無駄がないか、回遊しやすいデザインかなどを確認しましょう。

ECサイトリニューアルは前後で告知する

既存のユーザーが、サイトの仕様やデザインが変わったことに戸惑わないように、サイト内のお知らせ機能やSNSで、リニューアルを告知しましょう。プレスリリースを打って宣伝することも、効果的です。十分に告知されていないと、緊急メンテナンスが必要になったときに「ECサイトにつながらない」「サイトで買い物ができない」などのトラブルやクレームに発展することも考えられます。

ECサイトリニューアルに成功した事例

ECサイトのリニューアルに成功し、集客数や売り上げが向上した例を2つ紹介します。

ソースネクスト株式会社

ソースネクスト株式会社は、パソコン用のソフトウェアの販売やサポートを行う会社です。ECサイトのリニューアルでサイト改善を行い、定期的にPDCAを回す取り組みを遂行しました。これにより、ユーザーが使いやすいECサイトに改善されて、集約率が向上し、売り上げにつながりました。

イーベイ・ジャパン株式会社

イーベイ・ジャパン株式会社は、世界最大級の越境EC(国や地域をまたいだオンラインショッピング)プラットフォーム「eBay」を運営する会社の日本法人です。オーガニックでの流入が集客の多くを占めていましたが、ECサイトのリニューアルと併せて、SEO対策も実施したことで、訪問数やCV数などの数値が、以下のとおり向上しました。

訪問数 最大3倍に増加
CV数 最大12倍に増加
CVR 最大2倍に増加

上記ご紹介した以外にも、貴社と同じ業界の事例についてご紹介いたします。
サイトリニューアルの事例や相談したい方は、こちらよりお問い合わせください
弊社WACULでは、約40,000サイトデータと12,000件以上の検証データより成果に直結するサイトリニューアルをご提案します。

まとめ

ECサイトリニューアルは売り上げを伸ばしたい、事業の拡大に合わせて必要な機能を精査したい、ベンダーを変更したいなど、さまざまなタイミングで行われます。具体的な目的やコンセプト定義を決め、現状の課題を洗い出したうえで、必要な機能やデザイン、スケジュールなどを決めましょう。

改善ポイントを見つけるには、株式会社WACULが提供する「AIアナリスト」がおすすめです。約4万サイトを改善したノウハウで、Webサイトの膨大なデータを分析し、成果を伸ばすための改善ポイントをデータ根拠とともにお届けします。Googleアナリティクスに連携するだけで利用可能で、設定は2分で終わります。まずは無料版からお試しください。

AIアナリストの資料請求はこちら



この記事の執筆者

株式会社WACUL

株式会社WACUL

株式会社WACUL(ワカル)は、「Webサイト分析をシンプルに」というビジョンのもと、簡単にWebサイト改善の方針を手にすることができる世の中を実現します。