メールマーケティングとは?|始め方や成功させるためのポイントも解説

マーケティング基礎 |

こんにちは。株式会社WACULの安藤です。

メールマーケティングとは費用対効果の高いマーケティング手法の一つです。

この記事では、メールマーケティングの基礎的な考え方や始め方、成果を出すポイントまで解説します。メールマガジンの配信を日頃担当している方も、これから着手を検討している方も、ご参考ください。

目次

メールマーケティングとは

メールマーケティングとは、メールマガジン(以降:メルマガ)を使用したマーケティング活動のことです。ここでは、メールマーケティングの基礎的な考え方について解説します。

”配信リスト”と呼ばれるメールアドレスのグループに対して、メルマガを一斉配信し、受け取り手の態度変容を促すことを目的とした活動のことです。

メルマガには、自治体の広報や学校からのお知らせのような情報発信・伝達を目的としたものと、企業や団体が見込みのお客さんへの販促活動の一環として行うものがありますが、主に後者がメールマーケティングの対象となります。

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主に高級自動車メーカーやアパレルメーカーなどがブランディング活動のひとつとして、読み物としてのメルマガを配信することもありますが、こちらも最終的な目標は販促活動になりますので、メールマーケティングの範疇に入ります。

なお、”メールマーケティング”は和製英語であり、英語圏では「Email Marketing」と呼ばれています。

メールマーケティングの歴史と現在

メールマーケティングの歴史は古く、ビジネスにおいて最初にメルマガを活用した事例は1978年まで遡ります。
そのため、しばしば「メールマーケティングはいまだ有効(効果的)なのか。枯れた手法なのではないか」という議論があがります。

確かに私生活における個人間のコミュニケーションの手段としてのメールが使われる頻度は大幅に減少しましたが、ビジネスにおいてはコミュニケーションのプラットフォームはいまだにメールが中心として使われているため、BtoB業界においてはメールマーケティングを行わないという選択肢はまずあり得ません。

また、BtoC業界においても、各種SNSのアプリのインストール数よりもメールアドレスの方が普及率が高いことを考えると、顧客へ広くアプローチできる手段としてメールの力を無視することはできないでしょう。

歴史が長いことと、効果の有無については切り離して考える必要があります。

メールマーケティングの役割

メールマーケティングの主な役割は「リードの再案件化」です。メルマガを送付するためには読者に対する事前の承諾(オプトイン)が特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(通称:特定電子メール法)という法律によって義務付けられています。

つまり、事前に企業と読者との何かしらの接点が存在し、読者はその後に初めてメルマガを受け取るのであって、お会いしたことのない ”はじめまして” のお客さんを集客することは出来ません。

ネットショップで買い物をした人にセールを案内することで再び購入していただく、以前に問い合わせはしたけれど申し込みまで至らなかった人に新機能を案内することで再び検討してもらうなどのように、メールの受け取り手である読者に再度アクションをしてもらうことがメールマーケティングの役割となります。

一般的にはメールマーケティングの役割は「リードナーチャリング」と位置づけられています。ナーチャリング(育成)と聞くと、段階的に購買意欲を高めていくイメージを持ちますが、メールの文面だけで顧客の商品・サービスに対する需要度を高めることはとても困難であり、ほとんど不可能と言っても過言ではありません。

そうではなく、メルマガとは、顧客が商品・サービスに対しての需要が高まった時に、自社の商品・サービスを第一想起してもらうための「キープインタッチ」の役割であると考える方が適切でしょう。

メールマーケティングの特長

メールマーケティングが他のマーケティング手段と比較して優れている点の一つとして「費用対効果」が挙げられます。

メール1通あたりのコストは数円であり、営業担当による架電アプローチはもちろんのこと、郵送DMやSMSでのメッセージ送信などと比較しても、コスト面で大きな優位性があります。
特に顧客とのキープインタッチを目的とした場合、アプローチは継続的に行う必要がありますので、コスト面でのメリットは施策の選定基準としてとても重要です。

また、運用が簡単なので代理店を通さずに自社だけで施策を完結できるという点も魅力的です。メールを作成し、リストに対して配信するだけですので、自社のリソースだけで完結することが可能です。
これは、出費を抑えるという点だけではなく、施策の実行スピード及び検証を迅速に行うことができるというメリットもあります。

そして、もっとも大きな特徴が「誰が反応したのか」を把握できることです。リスティング広告やSNS広告は誰がアクションしたのかを知ることは困難ですが、メールマーケティングの場合、配信リスト内の誰がメールの文中のURLをクリックしたのか、またはクリックしなかったのかを知ることができます。
反応があった人(もしくは反応がなかった人)をリストにし、営業に共有することで施策の幅を広げることが可能となります。

メールマーケティングの始め方

メールマーケティングを始めるためには、その機能を有した専用のツールを利用する必要があります。
様々なツールが各社より提供されており、価格も数千円から数十万円までととても幅広く存在しますが、まずは自社がやりたいことを洗い出し、その運用が実現できるツールを選択しましょう。

なお、一般的にメール配信ツールは配信リストをCSVファイルとしてインポートするだけで使用できるため、乗り換えコストが低いのも特徴です。
まずは手頃なツールから利用してみて、機能に不足を感じたら高機能なツールに乗り換えるということも検討してみましょう。

なお、OutlookなどのメールソフトのBCC機能を利用してメールを一斉配信することは絶対にしてはいけません。
BCC機能の運用ミスによる顧客情報の漏洩は企業の社会的信頼を大きく損ねる上に、業務で使用しているメールサーバに大きな負担をかけてしまいます。

メールマーケティングを実施するのであれば、専用のツールの導入を行うようにしましょう。

メールマーケティングで見るべき指標

メールマーケティングを行う上で確認しなければいけない主な数値は以下の5つです。

不達率

配信リストのうち、相手のメールボックスに正常に届かなかった割合を示します。
計算式は「エラーアドレス数 / 配信リスト数 * 100」であり、基準値は ”5%未満” です。
この基準を超えているようであれば、エラーアドレスの中身を確認し、不要なアドレスは削除するなど、配信リストのクリーニングを行う必要があります。

開封率

配信に成功したリストのうち、読者によってメールが開封された割合を示します。
計算式は「開封数 / 配信成功数 * 100」であり、基準値はBtoBならば ”15%以上”、BtoCならば ”10%以上” です。

開封率はHTMLメールとして受信したメールしか計測できないため、テキストメールで送っているうちは計測できません。
この基準値を下回っている場合は、配信リストに含まれるニーズと配信しているコンテンツとの間に乖離がある可能性があるため、グルーピングの見直し等が必要です。

なお、開封に大きく影響を与えるのは「差出人名(Fromアドレス)」と「件名」です。

「差出人名(Fromアドレス)」は多くのメールソフトでもっとも最初に目に入る位置に表示されます。
つまり、「誰から来たメールなのか」というのがとても重要ということです。当然ながら認知していない(知らない)ところから来たメールは、警戒されるため開封率が下がることになります。
そのため、読者がもっとも認知している名称を差出人名に設定することが重要になります。

また、「件名」については、読者は左から右へと順に文字を読んでいきます。特に一定の文字数以上はメールソフト側で省略されてしまうこともあるため、重要で伝えたい内容ほど冒頭に持ってくるようにしましょう

また、2021年以降、一部のOS付属のメールソフトではプライバシー保護の観点から開封情報を正しく送付しなくなりました。(すべて開封として情報を送ってくる)
そのため、本開封率については今後メールマーケティングの指標から外れる可能性があります。特にメールの開封をキーとしたアクションについては再考する必要があるので注意しましょう。

クリック率

配信に成功したリストのうち、メールのコンテンツ内のリンクがクリックされた割合を示します。
計算式は「クリック数 / 配信成功数 * 100」であり、基準値は ”1%以上” です。
メールマーケティングの目的は態度変容です。そのため、私は最も重要な指標はこのクリック率だと考えています。

どれくらいの割合の読者がメールに反応したのかを知るのがこのクリック率になります。
残念ながら多くの読者はメールをじっくり読むことはありません。7割の人は開封して7秒も閲覧していないというデータもあります。

つまり、メールのクリック率を高めるためには、メールを開いた瞬間にクリックして欲しい場所が分かるようにレイアウトを工夫する必要があります。
特にメールのクリックは、URLそのものよりもボタンにした方が圧倒的にクリックされます。

反応率

クリック数を分子、開封数を分母としたものが反応率です。
計算式は「クリック数 / 開封数 * 100」であり、基準値は ”5%以上” です。
メールを開いたどのくらいの人が行動に繋げたのかを知る指標になります。

基準値を下回っている場合は、メールの件名とコンテンツとの間に乖離が生まれていないか点検をしましょう。
この指標が重要視されるのは、開封率とクリック率をそれぞれ独立した指標として見ていると誤った判断をしてしまう可能性があるためです。

例えば、開封率が20%・クリック率が0.5%であったという場合、開封率は基準値である10%を上回っているため、クリック率を改善すべきではないかと思ってしまいますが、それは間違いの可能性があります。

なぜなら上記メールの反応率は ”2.5%”であり、反応率の基準を下回っていることが分かります。
つまりこれは、「メールは開いたものの、コンテンツは読者が期待していたものと違った」ということであり、「メールの件名が大げさなタイトルで読者を騙していなかったか」という結論にもなりえるからです。
このように、件名とコンテンツの間に乖離がないかを調べるのが反応率の役目です。

購読解除率

配信リストのうち、読者によってメールの購読が解除された割合を示します。
計算式は「購読解除数 / 配信リスト数 * 100」であり、基準値は ”0.25%未満” です。
読者が購読解除をする理由はただひとつ「その情報が不要だから」です。
この数値を上回っている場合は、読者に有益な情報を送ることが出来ているか、リストの集め方は適切であるかなどを見直す必要があります。

これら5つの指標は自社のメールマーケティングが上手くいっているかどうかを判断するために適切に監視する必要がありますが、配信タイミング等によって数値が上下するのが一般的です。そのため、配信のたびに一喜一憂する必要はなく、配信時に大きく数値が乖離した場合、特に悪い方に乖離した場合に確認するようにさえすれば十分でしょう。

社内のリソースが十分に割けない状況であれば、点検の頻度としては10回配信したら1回確認するという程度でも良いでしょう。

メールマーケティングを成功させるために

メールマーケティングを成功させるためのポイントは主に以下の3つです。

目標設計

メールマーケティングを成功させるためにもっとも重要なことは、目標設計です。
メールに期待する成果を明確にしないことには、実施している施策の運用改善を行うことが出来ません。

仮に自社に2,000件のリストがあり、そこからメルマガ経由で月間5件の売上を立てたいといったように具体的に目標が立っているのであれば、自社のクリック率やランディングページの平均的なCVRなどから逆算することで、その目標が現実的なのかどうか、どれくらいの配信頻度で送れば達成できるのかなどが判明します。

しかし目標設計が曖昧なままだと、「開封率が下がったので、件名をもっと具体的にしてみよう」とか「クリック率が低いのでセグメント配信をしよう」と言ったような改善に進みがちですが、果たしてその結果が成果につながるかどうかは分からないままです。

まずは目指すべき具体的な成果を決めるところから始めましょう。

配信タイミングと配信頻度

メルマガで態度変容を起こしてもらうためには、何よりもメールを閲覧してもらうことが必要です。
例えば、金曜日の夜10時に営業系のセミナーの案内を流しても、多くの人は見逃してしまうでしょう。読者がその日届いたメールを確認する時間帯にうまく配信することが重要です。

一般的に、BtoB業界であれば週の半ばの火曜から木曜の午後、BtoC業界であれば週末の夕方から夜にかけてなどが、比較的開封されやすい時間帯と言われています。
自社のWebサイトがもっとも閲覧されているタイミングが、読者が情報探索をしている時間でもありますので、その時間帯の前後に合わせて配信するのも有効でしょう。

また、配信頻度についても増やせば増やすほど目につく機会は増えることになります。
月間1回しかメルマガを配信していない企業よりも、週に3回配信している企業の方が読者の記憶に残りやすいことは間違いありません。

一方で、中身のないメールを受け取れば受け取るほど読者の気持ちは離れていき、そのうち購読解除へと進んでいくでしょう。

セールスを主体としたメールを1通送ったのならば、読者にとって有益な情報となるメールを4通送るくらいの内訳が最適です。

適切な配信頻度については弊社研究所による調査結果がありますので、こちらも合わせてご覧ください。

参考:「メール送りすぎ?」 という遠慮は不要。メールマーケティングの実態調査

再現性のあるコンテンツ作り

メールマーケティングの役割はキープインタッチであると申し上げましたが、そのために重要なのは、継続的な顧客アプローチです。そのため、魅力的な本文や素晴らしいデザインは必ずしも必要なわけではなく、むしろ再現性が担保できないのであれば不要ですらあります。

もっとも重要なのは伝えたい内容を端的に伝える言葉のチョイスと、見やすいレイアウトです。

先述したようにほとんどの読者はメールをじっくりと読みません。”誰から来たのか” という「差出人名(Fromアドレス)」と、”何を伝えたいのか” という「件名」、”何をすればいいのか” という「コンテンツ」、この3つが揃ってはじめて読者はアクションを行うのです。

メールマーケティングで十分な成果が出るまでは、まずは再現性を重視したコンテンツ作りを心がけましょう。

参考:クリックしてもらえる可能性が高いメールの件名と本文とは?メールのベストプラクティス研究(Vol.1)

最後に

本稿ではメールマーケティングの基本について解説いたしました。まずは基本を理解し、継続的に配信を続けることが何よりも重要です。

メールマーケティングの特徴の一つは「費用対効果の高さ」であると申し上げましたが、最初の設計さえ出来てしまえば、あとは少ないコストで安定して成果を出せるのがメールマーケティングの良いところです。

弊社はメールマーケティングについて多くの知見を持っていますので、もしお悩みがありましたらお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

メールマーケティングに関してWACULへのご相談はこちら



この記事の執筆者

株式会社WACUL

株式会社WACUL

株式会社WACUL(ワカル)は、「Webサイト分析をシンプルに」というビジョンのもと、簡単にWebサイト改善の方針を手にすることができる世の中を実現します。

この記事の監修者

安藤 健作

安藤 健作

早稲田大学卒業後、株式会社丸井を経て、2006年に株式会社ラクスに入社。同社にてCS組織の立ち上げを行ったのち、マーケティングマネージャへ。その後、2016年よりメールマーケティングサービス「配配メール」の事業責任者となる。メールマーケティングのエバンジェリストとして「現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識」(マイナビ出版/共著)を出版。2022年6月よりWACULにジョイン。