アトリビューションとは?8つのモデルや分析の流れをわかりやすく解説

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こんにちは。広告運用代行サービス「AIアナリストAD」ライターチームです。

アトリビューションとは、直接的な要因ではなく、間接的な要因に目を向ける考え方のことです。この記事では、アトリビューションの基礎知識から、実務で使える具体的な内容まで幅広く紹介します。初心者にもわかりやすく解説しますので、マーケティング施策に役立ててください。

目次

アトリビューションとは

アトリビューションとは、コンバージョンに至った間接的な貢献度を測定する考え方のことです。直接的な原因ではなく、間接的な原因を観察することで、さまざまな視点からプロジェクトを検証できます。

アトリビューション分析は、マーケティングの分野でも活用されることが多いです。ユーザーの行動履歴から、コンバージョンに至るまでに接した、各広告の貢献度を測定できます。出稿した広告それぞれの運用効果を把握できるため、非常に重要です。

アトリビューション分析について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

Googleアナリティクスのアトリビューション分析で、ホントにCVに貢献している要素を見つけよう!|アクセス解析ツール「AIアナリスト」ブログ

アトリビューション分析でできること

アトリビューション分析では、各広告の正当な効果測定を行えます。コンバージョンをメインとした効果測定と違い、広告それぞれの意味を理解可能です。たとえば「ユーザーに商品やサービスを知ってもらうための広告」と「商品やサービスを好きになってもらう広告」では、それぞれ意味が異なります。

アトリビューション分析は、予算配分を最適化する際にも有効です。コンバージョンへの貢献度が高い広告への予算を増やし、効果的でない広告への予算を減らせば、効率的に資金を配分できるでしょう。

アトリビューション分析は主に2種類

アトリビューション分析は、「オンラインアトリビューション分析」と「統合アトリビューション分析」の2種類に分けられます。オンラインアトリビューション分析は、インターネット上の広告のみが対象です。一方統合アトリビューション分析は、インターネット広告のみならず、テレビなどのオフライン広告も対象になります。

アトリビューション分析が必要とされる背景

アトリビューション分析はかつて、金融業界の利益分析に活用されていました。さまざまな金融商品が乱立する中で、どのような株や債権が、どのような利益をもたらしたのか把握するために利用されていたのです。

マーケティングやオンライン広告においても、アトリビューション分析による効果測定が重要です。各広告の費用対効果の分析によって最適な施策を効率的に実行できます。改善すべき項目が明らかになるため、柔軟な対応を行う際にも役立つでしょう。

従来のようにコンバージョンに至った直接的な原因にのみスポットをあてた場合、ユーザーとの接点にあたる広告を見逃してしまいます。そのような状態で改善策を講じても、商品やサービスの認知度は向上しません。広告効果は、ラストクリックのみで評価できない指標なのです。

アトリビューション分析の向き・不向き

アトリビューション分析は、どのような方に向いているのでしょうか。具体的な向き・不向きを紹介します。

アトリビューション分析が向くケース

アトリビューション分析が向くのは、認知してから実際に購入するまでのスパンが長い商品やサービスです。購入検討に時間のかかる商品やサービスは、単一の広告で購入されることはまずありません。さまざまな広告や媒体を経由してコンバージョンに至るため、アトリビューション分析との相性が良いのです。

アトリビューション分析が向かないケース

アトリビューション分析が向かないのは、認知してから実際に購入するまでのスパンが短い商品やサービスです。認知後すぐに購入されるような商品やサービスは、複数の広告を経由することなくコンバージョンに至ります。コンバージョンに直接関係する広告のみを分析対象にすれば良いため、わざわざ各広告の貢献度を調べる必要がありません。

8種類のアトリビューション分析モデル

アトリビューション分析は、8種類のモデルがあります。どの広告がコンバージョンに最も貢献しているかは、商品やサービスのジャンル、企業の考え方などによって異なります。ひとつだけではすべてのビジネスに対応できないため、8種類のモデルが開発されているのです。ここでは、それぞれの分析モデルについて詳しく説明します。

起点(ファーストクリック)モデル

ユーザーの接点となる広告や媒体のみ重視する分析モデルです。たとえば、コンバージョンに至るまでの媒体を、SNS・ブログ・メルマガ・ランディングページの順に配置した場合、最もコンバージョンに貢献しているのは「SNS」です。ユーザーの接点となる広告以外は、コンバージョンに貢献していないものと見なします。

商品やサービスを認知させたい場合に利用されることが多いです。

終点(ラストクリック)モデル

最後にユーザーに接した広告や媒体のみを重視する分析モデルです。SNS・ブログ・メルマガ・ランディングページの順に配置した例でいえば、最もコンバージョンに貢献しているのは「ランディングページ」です。最後に接した広告や媒体以外は、コンバージョンに貢献していないものと見なします。

短期間で終了するキャンペーンやイベントなどに利用されることが多いです。場合によっては、起点(ファーストクリック)モデルを併用することもあります。

線形(均等配分)モデル

すべての広告や媒体を平等に評価する、最も一般的な分析モデルです。コンバージョンに至るまで経由した、すべての広告や媒体の貢献度を均等に割り振ります。たとえばコンバージョンに至るまでの媒体を、SNS・ブログ・メルマガ・ランディングページの順に配置した場合、貢献度はそれぞれ25%です。

線形(均等配分)モデルは、コンバージョンに至るすべての広告や媒体が重要なときに利用されます。

接点モデル

最初と最後の広告や媒体を評価する分析モデルです。それぞれいくらずつ貢献度を割り振るかは、状況によって異なります。最初と最後の広告やメディア以外は、起点と終点の貢献度を引いた後、均等割りされることが多いです。

たとえばSNS・ブログ・メルマガ・ランディングページの順に配置した場合、それぞれの貢献度はSNSとランディングページが40%、それ以外は10%といった数値になります。商品やサービスの認知度やコンバージョンを重視したいときに利用されます。

減衰(タイムディケイ)モデル

コンバージョンとの距離が近い広告やメディアを評価する分析モデルです。SNS・ブログ・メルマガ・ランディングページの順に配置した場合、それぞれの貢献度はSNS10%、ブログ20%、メルマガ30%・ランディングページ40%といった数値になります。

コンバージョンに近くなるほど、割り振られる貢献度も多くなります。キャンペーンやイベントなど、短期間で終了するビジネスにおすすめのモデルです。

フルパスモデル

コンバージョンに至るまでの広告や媒体を包括的に評価する分析モデルです。「最初の接点」「見込み顧客になった時点」「新たな機会創出」「受注」という4つの接点に、均等に貢献度を割り振ります。正確に解析するには多くの顧客データが必要になりますが、非常に有効なアトリビューション分析です。

商品やサービスの認知からコンバージョンに至るまでのライフサイクルが長いビジネスで利用されています。

U型モデル

最初と最後の広告や媒体を重視する分析モデルです。フルパスモデルにおける「最初の接点」「見込み顧客になった時点」「新たな機会創出」「受注」のうち、最初と最後の貢献度を40%、残りを中間ポイントに均等割します。

コンバージョン率は良いものの、そこから商談成立に結びつかない場合、「見込み顧客になった時点」よりも「受注」の方が重要です。この場合、U型モデルによって最初の接点となる商品の認知と、終点となる受注に貢献度を多く割り振ります。商品やサービスの認知となる始点と、売上の直接要因となる終点を重視したいときに利用されます。

W型モデル

W型モデルは、U型よりもさらにタッチポイントを追加する分析モデルです。「最初の接点」「見込み顧客になった時点」「新たな機会創出」「受注」のうち、終点・始点・見込み顧客になった時点に貢献度を30%、残りを中間ポイントに均等割します。

商品やサービスの認知からコンバージョンに至るまでのライフサイクルが長く、かつ見込み顧客の創出が重要なビジネスにおすすめです。

アトリビューション分析に使用されるツール

アトリビューション分析ツールには、無料と有料のものがあります。それぞれ違いがあるため、詳しく見ていきましょう。ここでは広告計測ツールとMAツールについて紹介します。

広告計測ツール

広告計測ツールは、Adobe Analyticsやユーザグラムなどの有料ツールと、Google アトリビューションなどの無料ツールがあります。それぞれ特徴があるので、状況に合わせて使い分けましょう。

たとえばGoogleアトリビューションは、各種設定がしやすく、Google広告とも連携できます。無料で使えるため、予算に不安のある企業にもおすすめです。ユーザーが複数のデバイスを保有している場合でも、購入に至った経路を正確に特定できます。

さらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

Googleアナリティクスのアトリビューション分析で、ホントにCVに貢献している要素を見つけよう!|アクセス解析ツール「AIアナリスト」ブログ

MAツール

MAツールを導入すれば、ユーザーデータの収集から効果測定まで一元管理できます。MAツールと計測ツールを連携させれば、商品の認知からコンバージョンに至る広告の貢献度を正確に把握できるでしょう。MAツールの機能を活用することで、実際に購入に至った見込み顧客などもわかります。

アトリビューション分析の流れ

アトリビューション分析を始めるにはまず、ツールの導入とデータ収集が必要です。ここでは、アトリビューション分析を行う際の具体的な流れについて、ツールを使用する前の段階から説明します。

仮説を立てる

ビジネスモデルに合わせて、ユーザーがどのようなメディアに接触するのか仮説を立てます。以下のような最初の顧客接点からコンバージョンに至るまでのシナリオを作成しましょう。

  1. ニュースメディアでイベント情報を知る
  2. バナーを3回みたあと、Web広告に興味をもつ
  3. 類似商品の比較サイトで商品を検討する
  4. 自社のFacebookページでキャンペーン情報に応募する

コンバージョンを計測する

実際のコンバージョンを計測して、仮説が正しかったかどうかを検証します。ユーザーとの接点となる広告や媒体で、コンバージョンや接触数が向上しているか確認しましょう。仮説で紹介した例でいえば、ニュースメディアに掲載されているWeb広告のクリック率や、Facebookページへのアクセス率などです。

複数のアトリビューションモデルの比較

複数のアトリビューションモデルを用いて、コンバージョン数の変化を比較しましょう。広告や媒体によって、どのような貢献をしているのかが異なるためです。たとえば終点(ラストクリック)モデルより、起点(ファーストクリック)モデルの方が高いコンバージョン数の広告は、売上より商品の認知度向上に貢献しています。

それぞれのモデルを比較検討して、多角的な視点からアトリビューション分析を行ってください。

改善策・PDCAサイクルを回す

検証に基づく改善策を立て、PDCAサイクルを回します。たとえばWeb広告のクリック率が低い場合は、広告文やターゲットなどの見直しが必要です。Facebookページからの反応率が良い場合は、コンテンツの作成に予算を集中させます。検証から改善までのサイクルを回し、広告運用を最適化させましょう。

取り組みやすいGoogleのアトリビューション分析

初心者でも取り組みやすいGoogleのアトリビューション分析について紹介します。

Google広告でのアトリビューション分析機能

Google広告ではアトリビューションモデルを設定することで、コンバージョンにおける広告の貢献度を確認できます。「検索アトリビューション」と「データドリブンアトリビューション(DDA)」という2つの機能を使えるためです。

また、アトリビューションモデルを変更することで、正確に効果測定を行えます。各広告の貢献度をもとに施策を立案すれば、コンバージョンを最適化できるでしょう。以下で、それぞれの機能を詳しく紹介します。

検索アトリビューション

検索アトリビューションでは、コンバージョンに至った日数、コンバージョンに至ったユーザーのデバイスや経路情報などを確認できます。コンバージョンに至る平均時間やインタラクション数、コンバージョンに間接的に関係した広告の把握や、ラストクリックやファーストクリックなどのモデル比較も行えます。

ただし、コンバージョンへの貢献度を求める以上、一定のCV数が必要です。

データドリブンアトリビューション(DDA)

従来のアトリビューションモデルでは、最初から決められた貢献度しか割り振れませんでした。しかし、データドリブンアトリビューション(DDA)は、機械学習のアルゴリズムに基づいたうえで、貢献度を割り振れます。広告主独自のコンバージョンデータを利用するため、算出される数値も正確です。利用には、膨大なユーザーデータが必要になります。

Googleアナリティクスでのアトリビューション分析機能

Googleアナリティクスにも、アトリビューション分析機能が搭載されています。Google広告とは異なり、自由にパラメーターを設定することで、検索エンジンなども含めたアトリビューション分析が可能です。広告を出稿しているすべての媒体で、貢献度を計算できます。

対応するアトリビューションモデルは、以下の7種類です。

  • 起点(ファーストクリック)
  • 終点(ラストクリック)
  • 線形(均等配分)
  • 接点
  • 減衰(タイムディケイ)
  • Google広告のラストクリック
  • 最後の間接クリック

Googleが提供する分析ツール「Googleアトリビューション」

Googleアトリビューションは、Googleが提供するアトリビューション分析ツールです。設定が簡単なため、誰でも利用できます。Googleサービスとの互換性があるため、Google広告と連携も可能です。また、ユーザーが複数のデバイスを保有している場合でも、コンバージョンに至った経路を正確に把握できます。

ただし2020年11月現在、ベータ版しか提供されていません。便利な機能が多いので、今後の正式なリリースが期待されます。

分析に活用したいアトリビューションレポート

アトリビューションレポートとは、アトリビューション分析の結果を出力したものです。分析ツールを用いれば、簡単な設定を行うだけで自動生成されます。出力される内容は、以下の5項目です。

  • 概要
  • コンバージョン経路
  • 経路の指標
  • アシスト コンバージョン
  • モデル比較

ここでは、アトリビューションレポートの生成方法や、アトリビューションレポートからわかることなどを詳しく説明します。

アトリビューションレポートでわかること

アトリビューションレポートでは、コンテンツによるリード件数や、コンバージョンに至るまでの行動履歴などがわかります。その過程で、どのような広告や媒体がコンバージョンに貢献しているかも理解できるでしょう。

また、コンバージョンに至ったユーザーと、コンバージョンに至らなかったユーザーとの違いもわかります。コンバージョンに至らなかったユーザーの原因を特定し改善すれば、より効果的な広告に予算を配分できるでしょう。

アトリビューション分析の活用事例

ある求人サイトでは、アトリビューション分析の結果から、ビデオ広告を視聴したユーザーの方が、視聴していないユーザーより広告のクリック率が32.5%も高いことが判明しました。新規のアルバイト登録において、ビデオ広告の貢献度が非常に高かったのです。

ある通販サイトでは、アトリビューション分析で計算した貢献度と、「目標広告費用対効果」に基づく入札価格をもとに、動的検索広告を配信しました。その結果、新規ユーザー数が16%増加し、さまざまなジャンルでコンバージョンも拡大したそうです。

ある通信会社では、さまざまな媒体に広告をまとめて配信できるアドネットワーク2が最もCPAの低い媒体として考えられていました。しかしアトリビューション分析によって、別のサービスの利用意向でアドネットワーク2が高い効果を発揮していることがわかり、CPAでは可視化できない媒体の効果を検証できました。

まとめ

アトリビューション分析は、コンバージョンに至ったすべての間接効果を測定できます。ただしひとつだけではすべてのビジネスに対応できないので、複数のモデルを比較検討しましょう。PDCAを回して、自社に合ったモデルを見つけてください。

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この記事の執筆者

株式会社WACUL

株式会社WACUL

株式会社WACUL(ワカル)は、「Webサイト分析をシンプルに」というビジョンのもと、簡単にWebサイト改善の方針を手にすることができる世の中を実現します。