WebマーケティングにおけるAI活用事例を一挙紹介!【Web担当者・マーケター必読】

マーケティング基礎 |

Web担当者さまやマーケターのみなさん、こんにちは。「AIアナリスト」マーケティング担当の小池です。
この記事では、人工知能(AI)がWebマーケティング領域においてどのように活用されているのかを、最新事例も交えて解説します。

「AIって最近よく聞くし可能なら業務に取り入れたいとは思ってるけど、なかなか勉強する時間がない...」
「AIについて勉強したくてもどうやって勉強したらいいのかわからない...」
という悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
一口にAIといっても、Webマーケティングの中の各領域(リスティング広告、SEO、アクセス解析など)によって活用形態が異なるので、どこの領域でどのようにAIが使われているのかを理解することが必要なのです。

この記事を読めば普段のWebマーケティング業務にAIを活用していくために必要最低限の知識が得られます。
記事の内容をしっかり理解して実践に結び付け、成果を最大化していきましょう!

目次

今やWebマーケティングでも人工知能(AI)活用が当たり前

今やWebマーケティング領域においても人工知能(AI)を活用することが当たり前になりつつあることをご存知でしょうか?

ここ最近、何かにつけて「人工知能(AI)」というキーワードを耳にするようになりました。
実際、2016年のユーキャン新語・流行語大賞でも「AI」というワードがノミネートされており、もはやAIは広く人々に浸透した概念だといえるでしょう。

そしてその傾向はWebマーケティング領域においても例外ではありません。
ここ1,2年で、AIを搭載したWebマーケティング関連のツールやサービスを提供する企業がかなり増えてきており、成果を出していくためにはそのトレンドをしっかりと理解し実践に活かしていくことが必須になってきました。
実際、2017年5月10~12日に開催された日本最大級のWebマーケティングサービスの展示会である「Web&デジタルマーケティングEXPO」では、「AI マーケティング」ゾーンが新設されました。
Webマーケティングに携わる方は、AIという選択肢を考慮に入れないと成果が出せない時代になっているのです。
特にWebマーケティングでは、大量のデータを集計・分析したり細かい運用の調整などをするシーンが多いので、工数削減・効率化という観点でAI活用が非常に重要なのです。
AIを活用できるかできないかで、工数や成果に大きな差が生まれてしまうでしょう。

人工知能(AI)には大きく分けて3種類ある

WebマーケティングにおけるAI活用事例を見ていく前に、AIについて最低限押さえておきたい知識についてご説明します。

一口にAIと言っても、チャットbotからロボットまで、人によってイメージするものは様々だと思います。
AIの厳密な定義について議論し始めると話が逸れてしまうので、ここでは一旦、AIには大きく分けて3種類あるということだけざっくりと押さえておけばOKです。
以下、東京大学の松尾豊教授の著書『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』(角川EPUB選書 2015/3)をもとに、AIの3つの種類分けについてまとめています。

ルールベース型AI 人間が「こう来たらこう返す」というルール(人間の経験によって得られた知見をもとにつくられたルール)を決めて、それを一つずつコンピューターに教えこんで処理させていくタイプのAI。
例えば、多数の種類の動物の画像の中から猫の画像を判別させたい場合、「耳がここについていて、目はここで、口がここについていたら、人間と判断せよ」などと機械に細かくルールを教え込んで判断させる。着目すべき特徴と、それを判断する際のルールを教え込むということ。
機械学習型AI 答えを出すために着目する特徴だけ人間が指定して、その特徴を判断に使う際のルールは機械自身が見つけてくれるタイプのAI。
上と同じ猫の画像の例で言うと、「耳と目とひげという特徴に着目せよ」ということだけ機械に指示して多数の写真(ただしそれぞれが猫か否かのタグ付けはされている)を渡せば、その特徴をどのようなルールで使って判断していくかはAIが自動的に学習してくれる。
ディープラーニング型AI 答えを出すために着目する特徴すら機械が抽出してくれるタイプのAI。
上と同じ猫の画像の例で言うと、多数の写真(ただしそれぞれが猫か否かのタグ付けはされている)を機械に渡しさえすれば、どの特徴に着目すべきかということから、その特徴をどのようなルールで判断すればいいかということまで判定してくれる。

Webマーケティングにおいては、現状Webマーケターの知見をツール化したルールベース型AIが基本です。
最近は機械学習型AIもチラホラ見られますが、Webマーケティング領域に機械学習が浸透するのはまだまだ先でしょう。

以上を踏まえたうえで、ここからは実際にWebマーケティングにおけるAI活用事例を見ていきましょう。
具体的には、リスティング広告・ディスプレイ広告・SEO・アクセス解析・Web接客それぞれのジャンルにおけるAI活用事例をご紹介していきます。

(関連記事:「AIが自動でサイト分析!GoogleアナリティクスのAssistant機能の実力は?」

リスティング広告におけるAI活用事例

まずはリスティング広告におけるAI活用事例を見ていきましょう。
リスティング広告においては、自動入札やレポーティング自動化などの形でAI活用が進んでいます。

リスティング広告における入札作業は、広告のパフォーマンスをこまめに把握してそれに応じてこまめに行っていかなければいけないので、人がやるとなるとかなりの工数を割かれてしまう作業になります。
また、見落としが発生してしまうリスクもあります。
このような作業は、AIに任せた方が賢明です。
ある程度ルールを設定したら、実際の運用はAIに任せてしまえば、遥かに少ない工数で正確に作業を遂行できます。
まだ全手動で行っているようでしたら真っ先にAI活用を検討すべき分野だといえるでしょう。
細かい運用はAIに任せて、人間はAIにはできない作業(訴求ポイントを考えたり、広告文を考えたり、など)に専念しましょう!

具体例としては、ロックオンの提供するスリーというツールや、GoogleやYahoo自身が提供する自動入札ツールなどでAIが活用されています。

スリー

ロックオンのスリーは、入札単価調整・キーワード追加を自動で行ってくれる「人型ポートフォリオ」を目玉としています。
KPIと予算さえ設定すれば、データがあまりたまっていないアカウントでも自動で入札最適化を行ってくれます。
これは、「大手代理店での運用経験を積んだリスティング広告運用のプロフェッショナルが開発チームに参画し、運用者の入札戦略をアルゴリズム化」したもので、先ほどのAIの分類で言うとプロの知見をもとにつくられた「ルールベース型AI」が使用されていると推測できます。
代理店の担当者にお任せするような感覚で活用できそうなAIですね!
リスティング広告運用の効率化が課題と感じている方は是非ご検討ください!

(関連記事:「プロが厳選!絶対に入れておきたいアクセス解析ツール4選」

ディスプレイ広告におけるAI活用事例

続いてディスプレイ広告におけるAI活用事例を見ていきましょう。
前述のリスティング広告同様、ディスプレイ広告も運用面においては煩雑な作業がたくさんあります。
そうした細々とした業務はAIに任せてしまい、戦略策定や訴求・クリエイティブの検討などにより多くの工数を割く方が賢明です。

ディスプレイ広告においては、媒体ごとの配信最適化やDSPと呼ばれる配信プラットフォームなどにAIが取り入れられています
特にFacebook広告では、かなり性能の高い機械学習型AIが取り入れられており、ある程度条件を指定すればあとは勝手にCPAやCTRを最適化してくれます。
またDSPとは、インターネット広告において広告主の効果を最大化にする目的とした自動最適化ツールのことで、広告在庫の買い付け・広告配信・広告掲載面の選択・クリエイティブの分析・入札単価の調整・オーディエンスターゲティングなど、ディスプレイ広告の運用におけるあらゆる雑務を自動化できます。
DSPについて詳しく知りたいという方は、こちらの記事(DSPとは? | 広告運用を自動化して効率的な成果アップを【入門編】)を参照してください。

また、サイバーエージェントが東京大学と共同でアドテクにおけるAI活用について研究するAI Labという取り組みもはじまっており、ネット広告におけるAI活用事例はますます増えております。

さらに最近では、複数の出稿先媒体(Google AdwordsやFacebook広告など)における運用をまとめて自動化してくれるAdstageというツールなども出てきています。

Adstage

今までは媒体ごとに運用していかなければいけなかったのが、Adstageの登場によって複数の媒体を自動で一括運用できるようになりました。
これがあれば、何種類もの媒体の管理画面を行ったり来たりして、それぞれで設定をいじる必要がなくなります!
複数の媒体をまたいだ運用自動化ツールは、今後ますます増えていくことが予想されます。

(関連記事:「Googleアナリティクスのユーザー必見!レポート自動作成ツール6選」

SEOにおけるAI活用事例

SEOにおいては、何といってもGoogle自身がRankbrainと呼ばれるAIを順位決定のアルゴリズムに活用していることが大きなトピックです。
Rankbrainとは、機械学習を用いることでユーザーの検索意図を曖昧なものであってもより正確に理解できるAIです。
Googleの検索順位決定の要因は数百個あると言われていますが、そのうちで3番目に重要なのがこのRankbrainだとGoogle側が公言しています。
Rankbrainの詳細については明かされていませんが、Googleの検索順位決定に機械学習が大きく影響しているということは十分に理解しておく必要があるでしょう。
Rankbrainについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

AIを活用したSEOツール自体はまだ少ないのですが、Faber Companyの提供するMIERUCAなどにはAIが活用されています。

MIERUCA

人工知能が、コンテンツマーケティングのKPI・改善指標としての「4つの力(集客力・閲覧力・誘導力・成果力)」を分析し、コンテンツマーケティングによる流入数・CV数を増やすためにどこのページを直せばいいのかを教えてくれます。
ここでも、ルールベース型AIが利用されていると推測できます。
少ない工数で成果を出したいインハウスSEO担当者さまには非常に役立つツールだといえます。

アクセス解析におけるAI活用事例

アクセス解析においては、分析レポートの自動化などにAIが活用されているケースが多いです。
例えば、株式会社PLAN-Bが提供するサイト分析&改善ツールJuicerや、株式会社グラッドキューブの提供するSitestなどは、AIによる分析機能が搭載されています。

また、AIがレポーティングだけではなく改善提案まで出してくれる弊社サービスのAIアナリストのようなツールもあります。

AIアナリスト

AIアナリストは、Googleアナリティクスのアクセス解析データと連携させた大量のデータを人工知能が分析して課題を発見し、課題ごとの改善方針提案まで全て自動で行ってくれるサービスです。
手作業で行うと膨大な工数がかかってミスのリスクも生じるアクセス解析を自動化して、改善提案まで出してくれます。
この分析ロジックは、弊社のアクセス解析のノウハウをAIに教え込んだルールベース型AIです。
またAIアナリストには、機械学習型AIによる異常検知機能(セッション数・CV数・検索順位の急な変動を察知してアラートしてくれる)もあります。

元々人力でWebコンサルティングを行っていた弊社の経験から言えることは、そもそもアクセス解析という業務は人間の手作業にはあまり向いていない、ということです。
サイトの課題を発見するためには、膨大な分析工数が必要で、ミスのリスクも伴います。
工数削減とミス防止のために、アクセス解析業務はもはやAIに任せるのがスマートだといえるでしょう。

(関連記事:「Googleアナリティクスだけじゃない!?サイト改善方法がわかるツール 7選」

Web接客におけるAI活用事例

Web接客の分野でも、とりわけECサイトでAI活用が進んでいます。
Web接客には、チャットやポップアップ表示などがありますが、特にAI活用が進んでいるのはポップアップ表示の分野です。
Web接客におけるポップアップの出し分けは、手動で行える範囲にはかなり限りがあります。ECサイトであれば商品カテゴリに応じてバナーを出しわけるくらいが限界でしょう。
しかし、AIを活用すれば、ユーザーの属性・閲覧ページ・購買履歴など様々な指標に応じて最適なポップアップを出しわけて、成果を最大化することができます。
特にECサイト運営者は絶対に活用すべきAIといえるでしょう。

具体例としては、NTTドコモが提供するECコンシェルなどが挙げられます。

ECコンシェル

「メルマガ会員を増やす」「未購入客の再訪時に初回購入につなげる」「目的なく訪問した客にオススメを提案して購入率を上げる」など、実現したいストーリーに応じて個別のポップアップを出しわけることができます。
ここにはルールベース型AIが使用されていると推測されます。
それぞれの客のニーズに応じて個別に対応できるので、かなりのCVR改善が見込めるでしょう。

まとめ:AIはWeb担当者を不要にするか?

以上、Web担当者さまやマーケターの方々向けに、人工知能(AI)がWebマーケティング領域においてどのように活用されているのかを最新事例も交えて解説しました。
いかがだったでしょうか?
最低限この記事に書かれている内容だけ押さえておけば、「今うちのWebマーケは●●の分野が弱いから強化したいけど工数・人手が足りない・・・」という時に、具体的にどのようにAIを活用する選択肢があるのか検討することができるでしょう。

また、「ここまでAIにできるなら、10年後にはもはやWeb担当者とか要らなくなってるんじゃないの?」という疑問を抱かれた方も多いと思います。
しかし、それは基本的にはないでしょう。
なぜなら、いくらAIにできることが増えても、最終的な意思決定は人間の担当者が行わなければいけないからです。
AI活用が進んだ時代においてWeb担当者に求められるのは、自社の状況に応じて適切なAIを見極めて使いこなし、意思決定する能力です。
Web担当者やマーケターのみなさんは、AIに関する情報収集を怠らず、目的や状況に応じて適切にAIを活用できるようになりましょう!

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この記事の執筆者

小池 真幸

小池 真幸

マーケティング担当。インターンを経て、現在は社員としてマーケティング業務に従事。